折れた腕と、折れなかった心。
私が年始に上腕骨を骨折してから11ヶ月。私はようやく11/2の日にベンチプレス競技という舞台に戻ってくることができました。

「交通事故レベル」と言われた重傷からの復活は、想像をはるかに超えるものでした。
2ヶ月は全くトレーニングができず、腕は肩の高さまでしか上がらない。
日常生活でさえ不便が残り、筋肉質だった体は別人のように変わっていました。
正直、引退を考えたのは一度や二度ではありません。
「もう重たいものは持てないかもしれない」
そう本気で思った日もあります。それでも、どうしても夢を諦めきれませんでした。
■ 最短で競技に戻るための−18kg減量
骨折から以前のように69kg級で、180kg以上の重量を支えることは難しく、この階級で復帰する為には回復→復帰までにはかなりの時間が必要と考えました。
その為、最短で復帰するために階級を軽量級にしてみようと考えました。軽量級なら扱う重量も、以前より軽くなります。
52〜57kg級で再び挑戦するために、私は−18kgの減量を決断。
以前69kg級の時の筋肉量と体脂肪率だと減量できて-10kgが限界、52〜57kgまで痩せるのは不可能でしたが、幸いにも骨折により筋肉量が落ちた事で、不可能な数字ではなくなりました。
そして私には決断し、手段を考え、実行する充分な時間がありました。私の人生の中で最大級の減量チャレンジです。
とはいえ、骨が完全につくまで半年。
軽い重量でも腕が震え、以前のようなトレーニングはできない状態。
3月に骨の再生が確認されてから、やっと減量に着手しました。
そこから約8ヶ月。
パーソナルトレーナーとして10年以上で培ってきた知識と経験を全投入し、
「できることをコツコツ積み重ねる」ことだけに集中しました。
結果、体脂肪率は17%。
身体も心も、まるで別人のように変わりました。

この経験で初めて、
“ダイエットがどれほど大変か”
“思うように行かない日がどれほど苦しいか”
痛いほど実感しました。
だからこそ今、
“変わろうとしている人”
の気持ちが誰よりもわかります。
■ 運命のような日
今日という日はゴールではなく、通過点にすぎません。
私の本当のスタートラインは—
手術からちょうど1年後に開催される「全日本ベンチプレス選手権」。
その大会の日付が手術の日と同じ。
まるで運命が「そこへ戻れ」と言っているようでした。
69kg級や重量級で戦いたい気持ちが今でもゼロではありません。
でも、最短で復帰するためにはこの選択肢しかありませんでした。
■ 支えてくれた人へ
私は誰かのために戦っているわけではありません。
でも、ここまで来れたのは多くの人が支えてくれたから。
主治医の先生、理学療法士さん、体をケアしてくれたトレーナー。
ジムの仲間、クライアントの皆さん。
そして、私を信じてくれたすべての人へ。
皆んなのおかげで、折れかけた心を立て直し、前に進むことができました。
だから私は、最後まで戦い続けたい。
支えてくれた人に恥じないベンチプレスをしたい。
■ ゼロからの再スタート
この腕でどこまで行けるか、まだわかりません。
思うように練習できるわけでもなく、以前と同じ結果が出る保証もない。
それでも、挑戦したい。
すべてが終わったとき、胸を張って
「ありがとう」
と言いたい。
これは、ただの“復活する物語”ではなく、
“もう一度夢を掴みにいく物語”
折れたのは腕であって、心ではない。
全てはここで神様の篩にかけられている。試されている。そう信じた。
諦めるか、更に強くなるのか。
この1年間、私はいっさいの妥協もせず、誰もが想像する以上に努力をしてきました。
辛くどん底で全てを失った気持ちになっても、いいことも沢山あった。新しい出会い、日常への感謝、大切なものに気づき、自分にある未知なる可能性も見出せ、私は更に強くなれる気がしました。
骨折をしなければ気付けないことが沢山あった。だからこれは、神様が与えたチャンスだと思いました。
あとは夢を叶えるだけ、私は必ず夢を掴みます。
溝口久美
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